院長のご挨拶

院長 田中冨久子

院長 田中冨久子

 2020年は、当院の開設以来10年目というある意味節目の年でしたが、前の年の暮れに中国で発生した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が、たった1年で全世界に広がり、2020年の末には感染者数8000万人を超え、死者数も175万人に上るという事態にまでなりました。そのため、当院の診療体制も緊急事態対応を迫られましたが大きな事故もなく、無事に年末を迎えることができました。皆さまのご理解とご協力に感謝申し上げます。

当然、本年も世界中で対新型コロナウイルスの戦いが続くことでしょう。そして、有力な第一戦力はワクチンであることは確かでしょう。でも、私は、昨年世界中から発表された論文を漁っているうちに、もう一つの戦力は「女性ホルモンーエストロジェン」であることに気がつきました。皆様は、当然、新型コロナウイルス感染者数や死亡者数の日々の増加の有様は、年齢別、地域別、国別、人種別などで発表されるグラフで確認されていることと思います。でも、気がつかれた方はいますか、「性別」の情報は通常のメデイアにはほとんど出てこないことに。

 実は、新型コロナウイルスへの感染率、重症度、死亡率は、女性で顕著に低い、という性差があることを世界中の研究者が認めているのです。もちろん、男性がソーシャルデイスタンス政策を守る比率が低いことを示す調査もあります。でも、そのほかに、その原因がエストロジェンであるとする研究がたくさん出てきているのです。詳細は、「田中冨久子のホルモン学講座」でお話しすることにしますが、簡単に述べると、エストロジェンは新型コロナウイルスがヒトの上気道細胞内に入り込むのを抑制する作用をもつことがわかってきたのです。

 当院で専門的に行っている閉経後女性へのエストロジェンの補充療法は、 思いがけずにも「新型コロナウイルス対策」の様相を帯びてきました。加えて、診療は、窓だけでなく、玄関をも開放しての換気を行いつつ、また三密に配慮して行っています。世界とともに、対新型コロナウイルス作戦に取り組む覚悟です。